晴転のシンカーはもはやキャラソンの域で収められんのでは
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キャラソン。
昨今のアニメやゲーム界隈では切っても切り離せないほど、あって当たり前ともされるソレ。
各キャラクターにあてがわれた曲は、年々歌詞も曲調も大衆受けする音楽と変わらぬほど進化していっていて、なんかもうジャニーズとか坂道アイドルたちに歌わせれば新海誠もびっくりな秒速1ミクロンで話題になりダウンロード数1位とかになりそうなものばかりだと思う。
本当に溢れすぎていて自分の知らないキャラソンなんて聖徳太子×5人くらいいないと聞ききれない気がするけれど、だからこそ限られた時間と作品の中でコレコレコレコレコレ〜!!!!!!と全身唸るほどの曲と出会えたら、それはもう誰がどう見たって運命でしかないじゃない。
日々の気分や生活でお気に入りの音楽はコロコロ変わるけれど、それでも一貫して好きなキャラソンがある。
スマホ向けイケメン役者育成アプリ、『A3!』に登場する兵頭九門が歌う「晴転のシンカー」。
ささやかな願いとしてはいつかこの曲が国歌に制定されたらなぁと考えてます。オタクはすぐに国規模で事を考え出すから敬遠されがち。
ただこの曲な〜にがいいって、もう、あの、その、雨の日に聞いても、晴れの日に聞いても、思わず涙を流しそうになりつつ泣くまいと天を仰いでしまうような、そんな真っ直ぐストレートな歌詞と曲調。
イントロ開始2秒でわかる。これ泣けるやつやん。
心の宮川大輔が叫んでる。あかーん。
もうね、本当にね、このイントロ聴くだけで水溜り作れるほど涙流せる。
夏の終わりに遠くから聞こえてくるような、まだまだ暑いんだけど、でも秋に近づけば不思議とその暑さも汗臭さも恋しくなるような、形容しがたい寂しさを思い起こさせるんですよこれは本当に。
そして流れ出す歌声。
もうキャラクターとかアプリのストーリーとか何も知らなくていい、それでも伝わってくる。
人懐っこさに秘められた独りの世界とか、人に向けた笑顔と内心の焦りとか。
歌声は力強く明快なのに、泣き出すのを今にも堪えていそうな弱々しさも持っていて、もう頼むからcv.畠中祐には国から5億振り込まれてほしい。
もどかしい苦悩や解決しきれない葛藤を歌って、それでいて爽やかさは常に纏っていて。
“シンカー”ってタイトルにつくくらいだから、歌う彼は野球少年というのは想像しやすいでしょう。
スタートライン
銀色のスニーカー
ツーアウト
散りばめられた野球関連の単語。
ただ残念ながらわたしは一切合切、野球ワードもルールも何もかもを知らない。
まじで野球のルールわからなすぎてかろうじでピッチャーキャッチャーがわかる程度。
だからわたしはこの歌を聞いて、野球と関連付いての情景をイメージすることができない。
そして改めて歌詞見てみたけど、この曲あんまりキャラクター・兵頭九門たる単語や世界観をあんまり使ってない。
言うてしまえば、わたしはこのゲーム内において兵頭九門を全くもって推していない。
にも関わらず。
知ったこっちゃないと。
毎朝仕事への鬱々とした足取りを軽くはしない。スキップは促されない。心だってカラッと晴れない。
けれど、つい踏み出す足が止まらなくなるような、そんな歌。重い足取りのまま、それでも歩く自分を褒めてあげたくなるような歌。手を取って連れていってはくれないけれど、隣で肩を並べて一緒にゆっくり歩いてくれるような歌。
そして、聞き終わったときには一歩の間隔が少しだけ大きくなっているような、そんな歌。
ていうか「晴天」じゃなくて「晴転」ってのがもう、好き。大好き。天才。
漢字ひとつでここまで印象が変わってしまうのだから、ややこしい言語大国ニッポンに生まれたよかったとさえ思ってしまう。
この曲は転ぶ前提。
晴れの日に限って、転んでしまう。
こんなタイトルなのに、曲中での少年はずぶ濡れで立っている。
そんなスタイルなのに、曲の最後は「もう雨は上がっていた」で締められる。
こんなん泣くしかねえ。泣くしかねえのよ。大の大人は。
みんなの3分をわたしにくれ〜!!!!!!!!!!!!!